« バロック音楽やルネサンス音楽や中世の音楽と一般のクラオタの世界 | トップページ | 往年の指揮者オットー・クレンペラーの計算高さ~クレンペラーは尊敬に値する指揮者なのか~ »

2018年5月27日 (日)

新しいバロック音楽の時代は来た~ガッティやオノフリやマルタンやエルヴェ・ニケ等~

前にカルミニョーラのコンサートに行った際にある30代位の音楽関係者の男性が、セオン・レーベルをよく聴いていましたと言うとその方は、それはちょっとアブナイですね。と言われたことを思い出します。

 

1970年代のセオン・レーベルはバロック音楽の古楽器による主張を持ち,過去の文献にあたり、その当時の奏法、楽器を使いその当時の良い趣味に基づき、演奏し過去を再現しながらも、博物館の音楽ではなく、現代に生きるバロック音楽を造ろうとしたいわゆる、オリジナル主義を目指していたのでした。

 

この時代は、LPの時代でした。でもその演奏家は、クイケン3兄弟やリコーダーのブリュッヘンやチェンバロのレオンハルトなどのオリジナル主義に共鳴する演奏家によって録音されました。

 

その音楽は、その当時のバロック・ヴァイオリンの奏法を確立した、シギスヴァルト・クイケンはいまでも活躍しています。その1970年代にシギスヴァルトをLPで聴いて多くの日本だけではなく、世界中からベルギーのこの3兄弟のもとに集まり教えを請う演奏家が多くいました。

 

今までにないバロック・ヴァイオリンの音に魅了された方も多くいました。またオランダのレオンハルトのもとにも、レオンハルトの主張に影響された多くのチェンバリストが教えを請いに行きました。

 

何しろ最新の古楽器による確かだと思われる演奏は、このセオン・レーベルしかなかったのですから。

 

確かにバロック音楽に一家言を持つ、つわもののオリジナル主義による演奏家それも超一流の演奏家ばかりでした。

 

さて、今現在強力にその当時の音楽をその1970年代から今に至るまで主張してきた、チェンバロとオルガンのレオンハルトとリコーダーとフラウト・トラヴェルソのブリュッヘンそして強烈な説得力を持った、ウィーン・コンチェントゥス・ムジクスの主催者であるウィーンの古楽演奏のアーノンクールも亡くなりました。

 

この三人の主張による録音の主張は今までの過去ログにありますので、読んでいただけると幸いです。

 

最初に言ったこの演奏家の何が、アブナイのでしょう。

若い人から見れば教条主義的な音楽に終始していたこの演奏家達は、その音楽はバロック音楽のその当時の前衛と言っていいものでした。楽しいバロック音楽を聴こうというものではなく、今から思えば新しいバロック音楽のアバンギャルドでした。

でも楽しく音楽を演奏する姿勢よりも、当時の音楽を、彼らの主張を前面に出していく音楽造りでした。

 

さとちゃんの世代で彼らの影響を全く受けてない聴衆や演奏家もいないのではないかと思います。それだけ彼らの主張に共鳴した、ブリュッヘンを慕う演奏家が集まった18世紀オーケストラなど彼らの主張は強烈でした。

 

この三人が、多くの後のオリジナル主義による演奏家に多大な影響を受けてそれを彼らなりに演奏をしていたこの三人のカリスマも今はいません。

 

この状況こそが、新しいバロック演奏家にとって多くの解釈を生み出すことになると思います。

 

もちろんこの3人以外に、イギリスでのピノックやガーディナーや故ホグウッドといったこれらに組しない団体も当時の1970年代から録音はありましたし、ラインハルト・ゲーベルのケルンのムジカ・アンティカ・ケルンといった奏法は完璧で、ケルンで学んでバロック・ヴァイオリンをシギスヴァルト・クイケンに師事して総仕上げを行うという徹底ぶりでした。

 

言いたいこととは、最近エルヴェ・ニケのヘンデルの王宮の花火の音楽を聴く機会がありました。かなりの人数で、古楽器による古楽奏法でありながら、ちょっとした表情付けを持つもので、昔のレオンハルトとブリュッヘンとアーノンクールでは、考えられない演奏でした。

 

 

バロック・ヴァイオリンのエンリコ・オノフリも巧く、多くのすぐれた演奏家が多くなり

セオンの常連だけではなく、多くのすぐれた演奏家によるバロック・オーケストラが立ち上がっています。

 

もう3人のカリスマの主張だけではなく、多くの可能性を持つ演奏家が多くなってきました。

バロック・ヴァイオリンのガッティのコレッリのヴァイオリン・ソナタなど丸い柔らかな音色でもあり多くの可能性を予見させます。

 

チェンバロのマルタンなどフランソワ・クープランの世界をフランス・バロックの情念を感じさせる立派なフランス人気質の女流チェンバリストです。

3人のカリスマが去った後の現在は、教条主義ではなく真にバロック音楽で心を打つ、故磯山雅氏の弁でいえば、魂を揺り動かす音楽、これを古いやり方ではなく、新しい形にしてくれる、多くのテクニックを持つ素晴らしい演奏家が出てくることが期待されます。

 

もう三人のカリスマの主張ではなく、新しいスタイルを持った前途有望なバロック音楽をつくることが、三人のカリスマの供養にもなりましょう。

 

新しいバロック音楽の解釈が、多くの素晴らしい技術を持つ演奏家によって生み出されることが、現実となっています。

 

バロック音楽が、今変わろうとしているのです。

決して聴くに値しない音楽ではありません。

食わず嫌いをやめて、バッハ、ハイドン、モーツァルトからあとの作曲家だけでなくその前の音楽としてのバロック音楽も聴いてみましょう。

|

« バロック音楽やルネサンス音楽や中世の音楽と一般のクラオタの世界 | トップページ | 往年の指揮者オットー・クレンペラーの計算高さ~クレンペラーは尊敬に値する指揮者なのか~ »

古楽・バロック音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/587115/66765448

この記事へのトラックバック一覧です: 新しいバロック音楽の時代は来た~ガッティやオノフリやマルタンやエルヴェ・ニケ等~:

« バロック音楽やルネサンス音楽や中世の音楽と一般のクラオタの世界 | トップページ | 往年の指揮者オットー・クレンペラーの計算高さ~クレンペラーは尊敬に値する指揮者なのか~ »