« ワーグナーの作品とナチス~女性の男性への自己犠牲~ | トップページ | BS-TBS2015年6月23日火曜日PM7:00放送~日本名曲アルバムと日本語の声楽曲~ »

2015年5月16日 (土)

評価が落ちたカール・ベームというお題~ベームの旬は1950年代~

没後30年という事で、指揮者カール・ベームというお題で、書きましょう。

実際に、今の方々は、この指揮者の本当の姿がわからないのかもしれません。

私たちの若い頃は、LPでのドイツ・グラムフォンでのベーム指揮ウィーン・フィルの演奏しか、でていませんでした。

 

きっと、社の方針で、音の良いそうした1970年代以降の演奏を売るためにも、古い録音は、出しませんでした。

 

ところが、その後1960年代のモーツァルトのベルリン・フィルとの録音での交響曲全集では、覇気のある低音を強調するドイツ的な緻密な演奏で、そうした録音をLPで販売し始めたのです。

私は、この一連の録音で、ベームというのは、ラファエル・クーベリックのような計算し尽されたモーツァルトの交響曲とは違い、ある程度、ベームのモーツァルトの良質な、彼ならではの勘による演奏だと考えています。

 

あるベーム好きという人が言っていたことに、ベームは、1970年代というのは、もう弛緩が始まっていてある程度もう、ベームの余生だといった人がいます。

でも、この指揮者は、ライヴでの物凄い強烈な演奏もあり、録音だけでは測れません。

ウィーン・フィルの団員が言ってていたように、生まれは19世紀の指揮者でもあり、親父さん(ベームのこと)が喜ぶであろう演奏またはかつてベームの好むような演奏をしていたとのこともあり、ある程度録音に関しては、ウィーン・フィルのおかげだともいえます。

 

私は、1970年代のベーム・ウィーン・フィルのコンビのベートーヴェンなどのドイツ・グラムフォンの膨大な録音をそれほど買いませんでした。

どれをとっても、整ったものでしょうが、彼の余生であって、どれを聴いても同じようなものだとの認識がありました。

若い皆さんは、この時期の録音を、ウィーン・フィルの美音とベームの中庸性である、恣意的でないために、聴きやすいというのでしょう。

 

ところが、私の若いときにご存知かもしれませんし、もう過去ログでも書いたとおり、1950年代以前の彼のウィーン・フィルを振った演奏や1930年代の壮年期の彼のザクセン国立管弦楽団のような演奏が、CDで発売されるとベームの認識感は、変ると思います。

 

ザクセンとのコンビでの、チャイコフスキーのイタリア奇想曲などは、物凄い弦のうなりを効かせ、ベーム自身が、ぐいぐいとオーケストラを自由無限に、引っ張っていく、強引とも言える、若いときの演奏を聴いた時、これは、並みの指揮者ではないとはっきりいえました。

 

当然、1950年代のウィーン・フィルでも、モーツァルトのジュピター交響曲にしろ、アイネ・クライネ・ナハト・ムジークでも、ウィーン・フィルを強引に動かし、彼本来の物凄い個性を発揮しています。当然モノラル録音です。

 

また、ある雑誌での評価では、モーツァルトのレクイエムは、中庸なところで、ステレオ録音のベーム・ウィーンフィルによるものがよいとされてきました。

 

ところが、ベームは、ウィーン交響楽団との1956年11月のモノラル録音での、モーツァルトのレクイエムでの彼の意思、力みなぎる演奏を聴くと、これもモノラル録音ですが、新盤よりももっと圧倒的な名演です。

 

このように、前に過去ログに書いたように、ベーム自身の演奏というものは、1950年代以前が、ベームの旬であって、聴きどころであり彼の個性がにじみ出ています。1970年代の録音は、音はいいですが、円熟、弛緩が、録音では、感じられます。

 

前と同じことを書きますが、ベームの壮年期の演奏の旬というのは、1950年代とそれ以前であったことをわからなければなりません。

|

« ワーグナーの作品とナチス~女性の男性への自己犠牲~ | トップページ | BS-TBS2015年6月23日火曜日PM7:00放送~日本名曲アルバムと日本語の声楽曲~ »

クラシック音楽」カテゴリの記事

コメント

藤原さん、コメントありがとうございます。ベームという指揮者は、人から聞いた話で、オペラは、自分がオーケストラを引っ張っていくから後の歌手や合唱は、私についてきなさいと言って、歌手や合唱を考えて指示するのではなく、私が、指揮をするのだから、私の音楽についてくるのは当然だとの意を言っていたようです。
1950年代には、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を完全に掌握していたのですから、凄いものです。
YouTubeでも、ベームの演奏を観ました。物凄い剛腕。モノクロ画面で、指揮自体は、格好のよいものではありませんが、力演で、ぐいぐいベームは、オーケストラを引っ張て行きます。
頑固ドイツ指揮者的なものは、昔も60年代も70年代もある程度は持っていたと思います。
さとちゃんは、ザクセンでのこの録音は聴いていませんが、きっと良い演奏だったのでしょう。
コメントありがとうございました。

投稿: さとちゃん | 2016年6月19日 (日) 07:09

ザクセンでのベームといえば、子供の頃、家にあったSPで「狩人の合唱」を聞いたことがあります。ドイツの深い森。ホルンが鳴り渡り、ラララララララと狩人たちが歌う。オペラなんてものは知らない子供でしたが、いいなあと思っていました。

投稿: 藤原 | 2016年6月15日 (水) 00:04

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/587115/61596496

この記事へのトラックバック一覧です: 評価が落ちたカール・ベームというお題~ベームの旬は1950年代~:

« ワーグナーの作品とナチス~女性の男性への自己犠牲~ | トップページ | BS-TBS2015年6月23日火曜日PM7:00放送~日本名曲アルバムと日本語の声楽曲~ »