2018年12月11日 (火)

バロック・オーケストラのフランス、イタリア、ドイツ等のお国ぶりの音

楽器によって、演奏者によって現代ヴァイオリンの音色は違います。

現代ヴァイオリンに例えれば、ヤッシャ・ハイフェッツの弾くヴァイオリンは、ストラディヴァリウスのドルフィンという楽器ですが、実に渋い音色がします。

一方、渋い音では、前に、ヘンリク・シェリングというバッハの権威であるヴァイオリニストがいました。この人のヴァイオリンの音色も中低音は渋く、ハイフェッツの音色に似ていますが、高音域は、かなりきつく、突き刺さるような高音がでるときがあります。

では、アルトゥール・グリュミオーというモーツアルトのヴァイオリン協奏曲やヴァイオリン・ソナタで有名だった、ベルギーの音楽院出身の彼のヴァイオリンの音色は、きらきらと光り輝くような音色です。

では、昔のイタリアのイ・ムジチ合奏団のコンサート・マスターであった、ヴァイオリンのフェリックス・アーヨの音色は、イタリアを思わせる、赤い甘い音色でした。

一番特徴的な現代ヴァイオリンのソリストの音色の例を挙げましたが、このように現代楽器のヴァイオリンでもこんなに演奏者と楽器によって異なるのがわかると思います。

もちろん現代オーケストラでも、素のままの音では、パリ管弦楽団の音はフランス的な明るい音色ですが、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の素の音は、ドイツ的な黒い音です。

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の素の音は、ウィーン的な明るくしかも歌い上げるときの弦は甘い輝かしい音色です。

こうした、お国ぶりによるオーケストラの素の音色の違いがありましたが、今では、訓練によって、ベルリン・フィルが、ウィーン・フィルの甘い音色を出したり、パリ管のような明解な明るい音色も出すことができる時代です。

これだけ素の音の音色が異なる超一流の現代オーケストラが数々あります。

楽器によって、演奏者によって、オーケストラによって音色が変わることが、クラシック音楽を聴く醍醐味であり、指揮者がどのように、素の音のままか若しくは、自分の色に染め上げるかによって音色が、変わっていく場合があります。

このように演奏者によってまたは、その現代ヴァイオリンが、どこの国のどのような楽器なのかによってイタリア的な音色やドイツ的音色やウィーン的音色やフランス的な音色等変わっていくのは当然のことでしょう。

またいつものように前置きが長くなってしまいました。ごめんなさい。

これは、当然バロック音楽演奏でも同じです。バロック音楽は、バロック・ヴァイオリンであって、19世紀に大きな音を出すために改造されたストラディヴァリ製作のストラディヴァリウスは、何億円もしますが、改造されていない、オリジナルのバロック・ヴァイオリンやそうした元のストラディヴァリ製作のバロック・ヴァイオリンなどのコピー楽器を使うのが、普通のこととなっています。

この場合もヴィヴァルディのヴァイオリン演奏の録音は当然のことながらあるわけがありませんが、その当時のヴェネツィアのピッチは相当に高かったのは、イタリアに残されているバロック・ヴァイオリンのピッチが高いことで如実にわかります。

そうしたヴァイオリンで弾くヴィヴァルディのバロック・オーケストラとバロック・ヴァイオリンでは、現代に近いピッチであって、輝かしいイタリア的な赤黒い音色です。実際には、超絶技巧のバロック・ヴァイオリンのソリストでもある、カルミニョーラのアンドレア・マルコン指揮のベニス・バロック・オーケストラもそうしたイタリア的な音色をだします。

では、フランスではどうでしょう。フランスのジャン=クロード・マルゴワールという指揮者がいますが、彼の指揮によるヘンデルの水上の音楽は、フランス人の団体であろう、ラ・グランド・エキュリー・エ・ラ・シャンブル・デュ・ロワによる演奏では、当時の演奏方法のイネガル奏法を用いて明解なフランス的な舞曲としてフランス風な粋なヘンデルを演奏している録音があります。

ドイツでは、前に記した、ベルリン古楽アカデミーのようにドイツ的な音色を持つバロック・オーケストラもあります。バロック・ヴァイオリンが、ドイツの当時のシュタイナーのオリジナル楽器なのかもしれません。

もうニコラウス・アーノンクールには触れませんが、そのバロック・オーケストラである日本表記で、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスは、ウィーンに伝わるウィーンの古楽器を使い演奏しているので歌い上げるときにウィーン的な甘い切ない音色もします。モンテヴェルディ作曲のポッペアの戴冠では、オットーネが、ポッペアに語る思いをウィーン・コンツェントゥス・ムジクスは、甘く切なく歌い上げていきます。

このように例を挙げると枚挙にいとまがありません。

でもバロック・オーケストラも現代オーケストラと同様にそのお国ぶりによって、音色も変わっていきます。もうバロック・オーケストラは、貧弱なアマチュアチックな演奏から変わり、一流のバロック・オーケストラが、数々創設されていて、現代オーケストラ同様、テクニックに不満を持つようなことはないようになりました。

時代は変わり、バロック音楽も新しい方向へ向かい始めました。

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